ウールふとんが出来るまで

大別すれば、4つの工程

ウールふとんは、大別して①製綿、②キルティング、③縁取り、④仕上げ・検査など4工程を経て完成品となります。少しこまかく工程を追ってみると、次項に示した図の工程をたどって、ウールふとんとして完成します。ベストウールクラブのウールふとんは、これらの加工工程の1ステップ1ステップが、厳密に管理・運営されているからこそ、ウールふとんの高品質が保証されるのです。そのころ人々は、狩りの獲物の肉を食べ、毛皮を剥いで敷物や寝具とし、体にまとい、保温のてだてとしました。そうした生活の中で、羊こそが食住両面に役立ち、放牧に適する動物として選ばれたのだと思われます。

ウールわたができるまで

ウールは、剪毛(毛を刈る)工程から始まって、選毛、洗毛、などの工程を経て日本に運ばれます。
ウールマークふとんの中わたにとって大切な点は、洗毛工程で油脂分を0.8%程度に調整することです。残脂量か多いと匂いなどの弊害となります。特に湿度の高い日本のシーズンでは、残脂量のコントロ−ルは大切です。又、植物性夾雑物などの異物が混入していると、肌をチクチク刺したり、異物にウール繊維が絡んでフェルト化の原因になります。
良いふとん造りには、良い原料選びと、原料造りの手間暇が欠かせません。
ふとん綿にするカード工程では、繊維が切断されると、浮遊繊維が多くなり、毛のふきだしとなる危険があります。これを防ぐためにカ−ド工程にも細かなメンテナンスが必要となります。
ウールわたができるまで

≪剪毛工程≫

羊から普通は年1回、毛を刈り取りますが、これを「ショーン・ウール」といいます。屠殺後羊の毛皮から毛を引き抜いた「スキン・ウール」や、病死した羊から抜き取った「デッド・ウール」と厳密に区別されます。もちろんベストウールクラブでは「ショーン・ウール」だけをふとん原料に使用します。

≪選毛工程≫

羊毛は当然のこととして刈り取られた毛の部位により、毛の太さ、長さ、ちぢれの状態が異なります。このため、原毛を一定の規格に合わせて取捨選択し、同質のものを選び分けることが必要になります。この工程を選毛工程といいます。
羊から刈り取られた状態のものをフリースといいますが、フリースから脚や尻などの毛の品質の劣る部分を除外します。これをソーティングといいます。スカーディングされたフリースは、混入物を取り除き、毛の太さ長さなどを選り分けて均一化を図ります。

≪洗毛工程≫

この工程で羊の分泌物の脂や、原毛に付着している不純物を洗い落とします。次図のように第1槽から最終の湯洗いまでの各槽を、ローラーで通りながらほぐし、圧力をかけて付着物や混入物を洗い流します。洗い終わったウールは、ローラーにかけて水分を絞り、乾燥機で熱風乾燥してちぢれを回復させます。

≪化炭工程≫

原料の種類によっては、混入している植物性物質を炭化させて取り除きます。下図のようにローラーで運び、ソーダや硫酸で洗い、乾燥機にかけます。さらに粉砕機と除塵機を経て、中和槽に浸し漂白します。

≪開毛準備工程≫

ウールは天然繊維なので、太さ良さのムラや、産地や羊の種類などによる品質の差があります。羊の飼育地の状態によって、植物の一部が羊毛に絡まって混入したり、化炭工程でフェルト気味の羊毛が入る可能性があります。ですからカーディングの工程に先立って、充分に”開毛”と”調合”をすることが大切です。

≪予備開毛≫

包装から取り出されたウールは、下図のようにフィードラチスを経て、一定の圧力をかけたローラーの間を通りながらオープナーにかけられた後、静電防止剤が散布されます。

(1) 紡毛タイプカード例
紡毛タイプカード例

(2) 合織タイプカード例
合織タイプカード例

≪ブレンダー≫
予備開毛されたウールは、ブレンダーを経て、ブレンディングビンにストックされます。この工程は、調合と品質の安定に役立ちます。

≪開繊≫
次いで、2回目の開毛。予備開毛され、ブレンディングビンに貯えられたウールは、さらにフィードラチスを経てオープナーあるいはクリーナにかけられます。カーディング工程に先立って、開毛の度合いを調べたり、不純物や繊維の塊がないかどうかをチェックします。

≪カーディング≫カード工程
ふとんわたの品質を左右する、重要な工程がカード工程です。白く洗い上がった羊毛を一本一本カード機の針でときほぐし、均一な膜状にします。
ウールの繊維を平行に並べるよう開繊し、ウェブ(長さと幅をもった繊維層)を作ります。
この工程では、埃りや土砂、不純物を取り除くだけでなく、大型のウールビンに水分を与えた羊毛原料・ウールを一晩寝かせて、ウール繊維の水分調整をするなど、中わたのふきだしの原因となる繊維の切断を除く工夫がされます。

≪ウェブ形式≫
カード機から、均整に開繊されて出てきたウェブが折りたたまれ、連続的に大きさと厚さが一定な「中綿」に仕立てられる工程です。

≪スティーム・ドライ≫
ウールに高温の蒸気を与え、それを急速乾燥させることによって、ウール本来のちぢれ(クリンプ)を回復させます。
カード工程を通った繊維は、クリンプが少し伸びるため、高温スチームを通し、さらに急速に乾燥させることにより、羊毛のクリンプを回復させます。それ故かさ高性が向上し、毛の吹き出しを減少させます。
“スティーム・ドライ加工”の工程は、ウールの長所をより一層発揮させ、ふとん用素材としての”理想”に近づけるためにあります。

縫製工程

ウール綿のふき出し防止加工をした生地の、表地の柄がゆがまないように注息深く縫製します。

綿入れ工程

ふとん綿をムラなく、すみずみまでていねいに側地の中に包み込みます。

≪キルティング・ヘム付け≫
この工程は、中綿がふとんの中で動きまわらないように、側地と中綿を縫い付ける作業で、大型のミシン・コンフォーターマシンでしっかり縫いとめられます。
更に次のヘム付け工程で敷ふとんの周りにヘムを付けて生地と中綿をしっかり縫い付けます。

検品工程

こうして出来あがった羊毛・ウールふとんは、ラベルを付けられ検針等の最終検査を経て、皆さんのお手もとに出荷されます。

その他の工程、防虫・防縮加工工程

長期間使用していると、ふとん綿が虫に喰われることがありますが、この加工をしていると虫がつかないため安心です。また防臭処理をしているため、いやな臭いも残りません。

防縮加工

ウールは、水分と熱と力を加えるとスケールがからみあいフェルト化して硬くなる性質があります。ふとんも長く使用していると、繊維がもまれ硬くなります。この為繊維のスケールを取り除き、ふとん綿が硬くなるのを防ぎます。又この加工は、ふとん綿の吹き出し防止にも役立ちます。

樹脂加工工程

スチーム加工のあと、ウールふとん綿に樹脂をスプレーするものもあります。これは、ウールの吹き出し防止、使用中のウールふとん綿のフェルト化防止と、ふとん綿の張りを高める、固わたの成型などの目的で行います。